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かもメモ

自分の落ちた落とし穴に何度も落ちる人のメモ帳

本の感想とか: 21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

を読みました。そういえば僕は元々デザイナーだったのでしたw 良い機会なので意識高い系っぽくデザインについて思ってることも踏まえて感想を書こうと思います。

過去にTwitter普段から思ってた事を呟いたら、そこそこRTされた事があって驚いたのですが、私は「デザインは問題解決、アートは自己表現」だと考えています。
デザインが必要をするのって、どう見せたいとか、伝えたい事がぱっと見た感じで伝わるとか、目的・ゴールが必ずあると思うのです。「かっこよくしてください。」とかってデザインを頼む人も「どんな風にかっこいいいのか?」とか「どんな風にみられたいのか?」とか、しっかりヒアリングしていけば殆どの場合 目的やゴールがあります。ただ自分でもハッキリその目的・ゴールを認識できてないだけなのです。

なので、デザインとはクライアントさんなどの抱えている問題を解決する手段を示すことだと考えています。 グラフィックの様なビジュアル的なモノだけじゃなくて、考え方やコンセプト、仕事の進め方のワークフローも、問題を解決するために工夫したのであれば、それはデザインされたモノだと言えると思っています。

デザインは日本語にした時に意匠と訳してしまったために、本来のデザインより狭い意味で知られてしまっているように感じています。なので、デザイナーと肩書を持たない人はセンスが無いから〜とか専門外だから〜とか言い、デザイナーと呼ばれる人たちは同じ人たちばかりで集まった身内感のあるグループを形成してしまっている風に感じます。
(ちょっと前に問題になった広告賞が身内でグルグル回されてたっぽい感じとかデザイナーの閉じたサークルで融通しあうズブズブな関係ができてしまってたのとか この辺りに端を発する問題なんじゃないかなぁーって思ってます。)

( 閑話休題 ) 西尾維新的表現

なので、ワタシ的には「デザインをする」というのは、問題解決としての考え方 という考え方の技術体系でしかない訳です。
一昔前であれば、デザインをするための専門的な道具を使えるというだけで仕事になっていました。今でも職人的な立ち位置でそのような仕事もありますが、技術進歩によって誰でも簡単に道具を使えるようになってきた近年、道具をつかえるだけで成り立つ仕事は減っていると思います。
なので、デザインというのは装飾をしたり専門的な道具で意匠を施すよいう感じではなく、例えば今までに無かった切り口のプロダクトを提案したり、商品の物語を作ったり、プロダクトのもっとも重要なコンセプトを見極め端的に伝わる状態にしたり、もっと効率的な業務の改善フローを作ったり、課題を解決できる方法を示すことにシフトしてきているのではないかと感じています。
こんな風に捉えると、デザイン的な考え方ってのは特にこの時代イノベーションとか起業とかビジネス的なメリットがあるんじゃないの?と感じられる部分があるんじゃないかなと思います。この考え方をビジネスにも応用しようという事で特に海外ではビジネスのコース内にデザインのカリキュラムがあったり、デザインのコース内にビジネスのカリキュラムがある大学ができています。調べるとスタートアップ(起業)が盛んな地域に多い事が解るかと思います。

で、この本です。ようやくね。
この本ではこの「問題解決としての考え方」をデザイン思考と呼んでいます。
そして、著者自身が一度社会人になった後に海外の大学でデザインとビジネスのカリキュラムがある大学で学んだ経験を元にデザイン思考とは何かから始まり、デザイン思考の具体的な実践方法などが章立てて書かれています。
個人的には、デザイナー向けのいわゆるレイアウトとかのデザイン作り方の思考方法の本というよりは、ビジネスマン・企画・営業や開発者(エンジニア)の方が対象、つまりデザイナー的な考え方のプロセスを知れば企画とか開発する機能のアイディアとかの出し方の幅が広がるよ。そして、今後はデザイン的なアプローチもできる企画やデザイン的アプローチもできるエンジニアって重要でてくるから先取りしておこうぜ!って感じの本かなという印象です。

参考までに各章の感想をざっくりと書いておきます。

chapter0 21世紀型教育の先進国アメリカ

主にアメリカで起こってるスタートアップブームを作ってる教育ってどんなもの?そんな企業で求められてる人材ってどんなもの?って内容と、著者がどんな経緯でデザイン思考に出会って興味を持ったか、また留学までしてどんなふうに変わったかという全体のざっくりとした導入な感じ。

chapter1 デザイナーから学ぶハイブリット知的生産術

デザイナーが成果物を出す際のプロセスを、「情報のインプット」「アイディアを飛躍(発展)させる方法」「アウトプット」と分けて、著者の留学先で学んだそれぞれのやり方の概要が書かれている。日本のデザイン系の大学や専門学校って結構師弟制みたいな雰囲気があって「自分のやり方でやってみろ。できたら評価するから」みたいな所があるけど、アメリカのデザインカリキュラムがある学校は体系立ててプロセスを教えているんだ。ちゃんと技術として訓練すれば誰でも身に付けれるものって確立されてるんだなぁ。と羨ましく思いました。

chapter2 作り手魂の学校

ここはプロトタイプというアウトプットをする事で新しい発見や再度アイディアの飛躍にもどってアイディアの質を高めていく方法の説明。
会社とかで多いのは「考えたことを、手で作る」ってのだと思うけど、
デザイナー思考で大事なのは手で考えるって事。手を動かすことで新しい刺激や発見を受け取るってスタンス。

chapter3 創造的問題解決の羅針盤

ブレストとかで難しく問題解決するには〜って眉間にしわ寄せてアイディア出しするんじゃなくて、連想ゲームみたいな、言ってしまえば遊びのような方法で自由なアイディアが出やすくなる手法の具体的なやり方や、出てきたアイディアの分析する具体的な手法の例、アイディアの幅が広がるようなリサーチの質問の作り方の例など、具体的な手法が書かれている。とりあえず会社のチームとかで取り入れてみたいって時はこの章の必要な部分だけチームメンバーに読んでもらうとかすると使えそうって思いました。

chapter4 創造モードへのスイッチ

ここは、手で考える がやりやすくなる道具やオフィス環境の話。自分の性格を変えたければまず環境を変えろ。なんて言葉もありますし人間って結構環境に影響を受けるものらしいので、例えばチームのデスクに自由に書き込めるホワイトボードを置くとか、ちょっとした事でも試してみる価値はあるかもです。

chapter5 デザインというビジネスキャリア

デザイン思考ができる企画・営業さんとか、デザイン思考ができるPMとか、デザイン思考ができるエンジニアとかが、どういったポジションの仕事もできるようになるとか、他の専門職の人との橋渡しがでるような人材が今後重要になってくるんじゃないかという著者の予想と展望が書かれている。

個人的にはスタートアップ企業とか、フラットな組織のITベンチャーとかでは、既にこういう人材は求められてると思うし活躍の機会も多いと思うし、チームでこういうブレスト方法導入しよう!とかが実現しやすいと思う。ただ、いわゆる大手企業とか縦割り社会の日本的企業とかだと、プロジェクトマネージャーとかリードエンジニアとかある程度発言力がある人でないと手法の導入は難しいと思うし、エンジニアチームとデザイナーチームみたいに組織がガッチリ分かれてると、そのチームの上長レベルじゃないと橋渡しの機会もないみたいな事にはなりうると思ってるので、企業体質によっては学んでも活かせなくて🌀もやもや🌀する事はありそう。って思ってます。

chapter6 デザイン思考は幸せに生きるためのライフスキル

最後の章は、デザイン思考は仕事だけじゃなくて日々のライフハックとかにも活かせるから、この技術を知ってるとライフハックが楽しくなるよ!的な内容。
ちょっとデザイン思考礼賛しすぎっぽい感じ。まぁまとめだしね。ただこの章のお陰で自己啓発本っぽかったなーって印象で終わてしまうのが残念かもしれない。


まとめ

小難しく書きましたが、要は

“ 社内プレゼンの資料や勉強会の資料を作る時に「これで解るよね。」と作るのではなく、「どうやったら、より良く伝わるだろう?」と言うことを考えて、伝えたいことの順番を整理したり、専門用語の説明をたとえ話にしてみたりする。この部分がデザイン思考
ゲットしたフィギュアが超イイから見てくれ!って写真を撮ったりする時も
f:id:kikiki-kiki:20160221033032p:plain
↑ じゃなくて、
f:id:kikiki-kiki:20160221033053p:plain
↑ こう撮った方がどのフィギュアの事かわかるしエモいフィギュアって事がちゃんと解るよね!!って構図や背景、見せたいものが解るように工夫して撮る。この部分がデザイン思考
で、実は結構みんな無意識的に、自分の中だけでデザイン思考をやってる訳なのだけれど、
デザイン思考のやり方を知識として知っていればチームとしてアイディア出ししたり、行き詰まった時に考え方を変えてみる手段として使えるよね ”

って話だと思います。
デザイナーさんも自分の中でやってるので、やり方を文章化したり明示的な方法論としてやってなかったりだったら知識と知っておけば技術として使いこなすことができるようになるんじゃないかなと思います。
(個人的にデザイナー・アートディレクターとしての踏み込んだ考え方は「センスは知識から始まる - 水野 学」をオススメします)

私的にはデザイナーはエンジニア的な考え方を知った方が良いと思ってます。そして、エンジニアはデザイナー的な考え方を知っておくのが良いと思っています。
デザイナーが開発できる必要はないですし、エンジニアが所謂デザインができる必要も必ずしも無いでしょう。でもお互いの考え方を知っておけば、デザイナーとエンジニアとの意思疎通が容易になるので、プロジェクトの進行がスムーズになるし、デザイナーチームとエンジニアチームで対立したりとか少なくなると思います。
特に少人数のチームでスクラムとかアジャイルとかで、そいやッってプロダクトを作る際には、お互いに「どうすればもっとプロダクトが良くなるかな?」という視点で話ができるようになると思いますのでお互いの考え方を知っておくのは有用だと思います。

エンジニア的な考え方の本は結構あっても、デザイナー的な考え方の本はまだ少ない ( 言語化が苦手なデザイナーが多いからかも? ) ように感じてるので、ちょっとでも興味があれば読んでみる価値はあるかもかなーって思いました。まる。

超長文な上に伝わりやすい文章には、まだまだほど遠いですね。文章という技術の訓練が僕には必要っぽい!


[参考]

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

センスは知識からはじまる

センスは知識からはじまる