かもメモ

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私のあついハツデン活動、ゲンパツ始まります!

原発関連で、騒がしいので読んでいた本などを元に原子力発電のことをまとめてみました。

原子力発電

核分裂によって放出されたエネルギーで蒸気を作り出しタービンを回すことで発電する。
日本の原子力発電所はほぼ下記の2種

1. 沸騰水型軽水炉

原子炉で直接 軽水(ふつうの水)を沸騰させタービンを回す。
日本国内で最も多いタイプ。福島第一原発はこれ

メリット

構造が単純なのでエネルギー交換によるロスが少ない

デメリット

炉心に触れ放射性物質に汚染された水でタービンを回すので、当然、蒸気も放射能を帯びているので、蒸気を回収する装置・タービン建屋も放射線が漏れないよう堅牢に遮蔽しなければならない。
廃炉時に放射性廃棄物が多くなるので廃炉コストが高い

2. 加圧水型軽水炉

原子炉の冷却系(一次冷却)と発電のためのタービンを回す冷却系(二次冷却)を分け、原子炉で発生するエネルギーを冷却系の熱交換してタービンを回す。
関西電力九州電力に多い。川内原発はこっち

メリット

放射性物質は一次冷却系に閉じ込められるので、タービン建屋などは放射線の漏れを心配する必要が無いので、遮蔽が必要な建物が少なくて済む。保守時の安全性が高い
一次冷却系で蒸気を集めなくても良いので、制御棒が釣下げ型にできる。緊急時に電源を喪失しても自由落下で制御棒の挿入が可能なので核分裂の暴走のリスクは沸騰水型より少ない

デメリット

熱交換をするので、エネルギーロスが発生する為、発電コストは沸騰水型より高い
冷却系が分かれているので配管が複雑なため保守コストが高い


核反応

核分裂の連鎖反応

核燃料(核分裂物質 最も一般的なのはウラン235)にイニシエーター(中性子)を照射すると核分裂物質が核分裂を起こし、その際に中性子を放出する。 この放出された中性子が隣の核分裂物質に吸収され核分裂を起こす。ーと最初にイニシエーターを照射する事で後は勝手に核分裂反応が持続する。
ex:ウラン235核分裂の例
235U + n => (236U) => 103Y + 131I + 2n

制御棒

上のウラン235核分裂の例では1つの中性子を与えると2つの中性子を放出しています。実際にはこれ以外の化学反応も起こっていて平均すると1個の中性子から2.06個の中性子を生み出します。
中性子の数が2倍になることから、連鎖反応は指数関数的に増大してしまい暴走してしまいます。
この放出される中性子を吸い取って数を調整するのが制御棒です。ホウ素やカドミウムといった中性子を吸収しやすい素材で出来ている。

臨界

1個の中性子核分裂が起こり、放出された2個の中性子の内1つを制御棒で吸収し、残る1つで核分裂が起こる。中性子の収支がつりあっている状態の事を「臨界状態」とよぶ。

note.

減速材

核分裂により放出される中性子は高速なので、吸収される前に核物質をすり抜けてしまう可能性が高く効率よく連鎖反応を起こしてくれないので、高速な中性子を減速させる物質を減速材と呼ぶ。核燃料とともに原子炉の炉心に入れておく。

一般的な原子炉の減速材は水(軽水)を減速材に使用
中性子を同じくらいの質量のものが減速材には向いており、質量が大きくなるほど減速効果は下がる。もっとも小さな原子核は陽子が1つの水素の原子核中性子の質量は陽子とほぼ同じなので、最も減速効果が高いのが水素原子ということになる。液体水素は可燃性もあり取扱いが難しいので、代わりに水素原子を多く含んだ水(H2O)が使用されている。
ただし、水素は中性子を吸収しやすい性質があるので、連鎖反応の効率が悪くなってしまう。そのため反応が良くなるようにウラン燃料を濃縮する必要がある。
軽水を減速材に用いた原子炉を軽水炉と呼ぶ

逆に、水素が中性子を既に吸収している状態のもの、重水素(デューテリウム)を多く含む水である重水は中性子を殆ど吸収しないので、連鎖反応の効率が良いため、天然のウランを燃料として使用することができる。
重水を減速材に用いた原子炉を重水炉と呼ぶ

  • 軽水炉
    減速材のコストは安いが、燃料を濃縮するコストが必要。
  • 重水炉
    減速材の濃縮・抽出のコストがかかるが、燃料のコストは安くなる。

note. 連鎖反応効率のよい減速材である重水は、燃料の核反応する割合が多い = 高出力になる。という点から核兵器にも使うことが容易なので、核兵器開発疑惑がある国が発電名目で重水炉
を持っていると周辺国はこれを軽水炉に変更させようとする。

冷却材

核燃料を冷却するもの。冷却する = 熱を奪う => 熱を奪う = 熱エネルギー取り出す
核燃料から奪った熱エネルギーを原子炉外に取り出すためのもの。(水を沸騰させるなど)

一般的な冷却材は水。
この冷却材を直接沸騰させているのが、沸騰水型原子炉
2段階で水を沸騰させるのが、加圧水型原子炉

更に水は減速材を兼ねる事ができるので、減速材・冷却材に軽水を用いている場合
前者が、福島第一原発などの沸騰水型軽水炉
後者が、川内原発などの加圧水型軽水炉となる。


原発事故の違い

チェルノブイリ原発事故

核分裂によって生まれる物質の中に中性子を吸収しやすい物質(キセノン135など、毒物質と呼ばれる)があり、低出力で操業実験をしていたチェルノブイリ原発は臨界状態を保つために制御棒を殆ど抜いてしまっている状態だった。
この毒物質も中性子を更に吸収することで順次、毒物質ではない別の物質に変化していく。制御棒が殆ど抜かれた状態だったため、毒物質が殆ど無くなると一気に超臨界状態となり核分裂の暴走状態になった。
実験を中断しないために安全装置を停止していたこともあり、制御棒の一斉挿入の緊急停止に手間取った上に、チェルノブイリ原子力発電所の原子炉は制御棒を完全に抜いてから挿入すると一時的に出力が上昇する構造になっていた。
これによって、核分裂の連鎖反応を止めることができない = 原子炉を停止できない 状態となり核爆発に至った。

福島第一原発事故

基準値を超える地震を感知し、制御棒が挿入される緊急停止が行われ、核分裂の停止 = 原子炉の停止をすることはできたが、その後の津波で電源を喪失したことにより、冷却材を循環させるポンプが動かせなくなり原子炉の冷却ができなくなった。
原子炉内で核分裂により生成された物質は放射線物質が大半であり、これらの物資は放射線を出す際のエネルギー = 崩壊熱を発生させる。
冷却ができなくなったことで、この崩壊熱が原因で炉心融解(メルトダウン: 制御棒や核燃料・原子炉を構成する構造物等が融解(液体になる))が起こり、その際の化学反応で大量の水素が発生し、注水の遅れから温度が上昇し水素爆発を起こした。

note.

崩壊熱

地球の地熱にもなっている現象。地熱の発生源の半分程度は地中の放射性物質の崩壊熱によるもの。地中という逃げ場のない所に放射性物質が閉じ込められていることで地球を高い温度に保つことができている。
ex: ポロニウム210は1kgで140Wものエネルギーを放出する (白熱電球以上)

地球を温める事ができるくらいのエネルギーがあるので、狭い場所に放射性物質を閉じ込めて冷却しないでおくと、大変な温度になってしまう。


感想的なもの

原子炉を停止させても、崩壊熱の冷却のに長い年月が必要なので、今すぐ原子力発電所の原子炉を止めても冷却期間中に冷却するための電源を喪失すると、福島第一原発事故と同じ事故が起こってしまう可能性があります。
チェルノブイリの核爆発事故は人為的ミスな面も多く、発生の可能性は低いでしょう。
したがって、あれだけ大きな地震であった福島でさえ原子炉の停止はできているのですから、冷却為のの電源を喪失しない事が事故を起こさないための最も重要な要因になるのではないかと感じます。
また、完全停止させ再稼働させる際には先に述べた毒物質の関係で臨界状態を保つ事が、安定状態で稼働している時より高度な技術が必要になるでしょうから、この際にチェルノブイリの様な制御ミスがあると核爆事故を起こす事にもなりかねないのかもしれません。

原子力発電所について止めろとか止めるなとかの主張するなら感情論でなくやはり科学的な根拠から言って欲しいと思っています。
感情論で政治を動かそうとすることこそ「開戦やむなし」の新聞報道・世論に押されて、欧州の武官からドイツの崩壊は既に始まっておりドイツ側に立って参戦すべきではないという報告があったにも関わらず太平洋戦争に突入してしまった。ここから何も学べてないことに他ならないのではないか、と私的には思うわけなのです。
 

本とネットから得たものを自分でまとめたものなので間違いがあれば指摘してください。

[参考]